日本全国にゼロから通信インフラを構築しようとする楽天。だがNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの既存3社に対抗できるかというと、二つの理由で非常に難しいと言わざるを得ない。特集『楽天携帯 最終テスト』(全5回)の#4では、その難しさを解き明かす。(ダイヤモンド編集部 村井令二)
楽天の足元見透かし
設置場所の賃料高騰も
東京都内のとあるマンションの屋上に、携帯電話の基地局がひしめくように立っている。その一つが楽天モバイルの基地局だ。細いポールの上部に無線機と一体化したアンテナが据え付けられた独特の形状は、楽天のそれだとすぐに見分けがつく。
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従来の基地局のアンテナは無線機と別々で大型化しているが、無線機とアンテナが一体化した楽天の基地局は軽量でコンパクト。これにより、エレベーターを使って人力で搬入でき、設置コストも安く済む。これが楽天の狙いだ。
だが実際には、基地局の設置はそう簡単ではない。すでに楽天の足元を見透かすように高い賃料を要求するビルのオーナーが出てきた。
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの既存3社が基地局を設置している場所では「後から来た楽天の賃料が高くなるケースは多い」(業界他社)という。これでは、軽くてコンパクトな基地局でもコスト削減の効果は限られてしまうかもしれない。