楽天携帯 #5
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楽天は、自前で基地局網を構築できないエリアをKDDIのローミング(回線貸し出し)でカバーして、携帯電話事業に新規参入する。だがその代償は大きい。特集『楽天携帯 最終テスト』(全5回)の最終回では、KDDIとの提携のジレンマを探る。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

楽天の料金体系を
KDDI社長が予測した根拠

「“大容量”には来ないだろう」。4月に携帯電話事業に新規参入する楽天の料金体系について、こう予測したのはKDDIの高橋誠社長(「高」の字は正式には「はしごだか」)だ。提携関係にある楽天については、その内情を詳しく知っている。

 楽天モバイルは4月の事業開始時に適用する料金プランを3月3日に発表する予定だ。大手3キャリア(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)の寡占を崩すだけの低価格プランが期待されている中、楽天の三木谷浩史会長兼社長は2019年9月の記者会見で「他社がまねできない料金体系になる」と表明していた。20年1月下旬に記者会見した楽天モバイルの山田善久社長も「それなりにインパクトのある数字を出さなければいけない」と述べた。

 だが足元では、楽天が格安の料金プランを出すのは難しいとの見方が強くなっている。その要因は、提携相手でありながら競合でもあるKDDIとの複雑な関係だ。楽天は自前の基地局でカバーできないエリアはKDDIのローミング(回線貸し出し)を利用している。

 一方のKDDIは、これによって楽天のユーザーがどこでどれだけの通信量を使っているのかが手に取るように分かるようになった。反対に、楽天の側から見れば、競合に手の内を読まれている状態だ。

 つまり、高橋社長が楽天の料金プランについて「大容量は来ない」としたのには、根拠があったのだ。

 最大の根拠は、楽天がKDDIに支払うローミング料金。これがあまりに高額のため、楽天が「使い放題」のような大容量の料金プランを低価格で打ち出すのはもはや難しい。それが誰の目にも明らかになりつつある。