携帯激震!総務省vsキャリア3社#5Photo by Kazutoshi Sumitomo

10月1日の改正電気通信事業法の施行で、携帯電話事業者の料金競争は起きるのか。今のところ各社の料金に大きな変化はないが、高市早苗総務相は、競争を促進するための環境が整ったことで、携帯電話料金は「下がっていくと思う」との見通しを示した。特集「携帯激震! 総務省vsキャリア3社」(全5回)の最終回では、新規参入する楽天への期待や、格安スマートフォンの支援について語った同相のインタビューをお届けする。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

通信料金も端末代金も
それぞれ競争が起きていく

――2018年8月に菅義偉官房長官が携帯電話料金について「4割程度下げる余地がある」と発言し、携帯料金値下げの議論が加速しました。高市大臣はそれ以前の15年9月に安倍晋三首相から携帯料金の値下げ策の検討指示を受け、この問題に取り組んでいました。当時から今に至る経緯を踏まえ、改正電気通信事業法の狙いを教えてください。

 私が前回、総務大臣に就任したのは、14年9月から17年8月までの2年11カ月です。

 就任した頃は、携帯端末の「0円キャンペーン」が実施される一方で、通信料金が高かった。このため、端末をよく買い替える人にとってはお得でも、代わりに他のユーザーが、その分の通信料金を高めに払っていたという問題がありました。

 また、スマートフォンは「メールと電話で利用して、たまにインターネットで検索するくらい」という人なら、通信の使用容量は1ギガバイト(GB)未満で済みます。実際にこうしたユーザーが多いというデータもありましたが、当時の携帯電話の通信料金の設定は「3GBプラン」とか「5GBプラン」などが用意されていました。

 これにより、使っていない容量の料金まで払っているという問題もあったので、携帯電話事業者には、ヘビーユーザー向けのプランの他に、ライトユーザー向けのプランなど、細かい料金設定をしてほしいとお願いしました。

 私は、もともと携帯電話について、端末代金は端末代金で、通信料金は通信料金で、それぞれ分けた方がいいという見方をしていましたが、前回の総務大臣の在任中にできたことは、スマホの利用料金の負担軽減を図ることと、SIMロック解除の期間を短縮したこと、端末購入補助適正化(0円端末の規制)のためのガイドラインを整備したことでした。

前回の総務相在任時にも携帯料金の引き下げ問題に取り組んだ前回の総務相在任時にも携帯料金の引き下げ問題に取り組んだ。2015年12月の有識者会議 Photo:JIJI

 今年1月、有識者会議の提言を受けて、通信料金と端末代金の完全分離とともに、期間拘束など行き過ぎた囲い込みの是正を行うため、電気通信事業法の改正が実現。この10月1日に施行されました。

 これにより、利用者が通信料金を比較・選択できるようになります。さらに、携帯電話事業者の乗り換えが容易にできるようになります。そこで期待しているのは、競争が活発になって、分かりやすく低廉な料金とサービスが実現することです。