中国政府は新型コロナウイルスへの対応についての世論を誘導するため、頼みの戦略を踏襲している。大規模なプロパガンダを展開し、批判的なニュースをもみ消そうとする戦略だ。だが感染拡大で2600人余りの死者が出る中、国民は不信感を募らせ、プロパガンダが逆効果になる例も見られる。中国メディアから批判的な報道が出ないことに疑問の声が上がり、共産党の英雄を担ぎ上げようとするのは拙劣な試みだとの拒絶反応も出ている。国営メディアでさえ、アプローチの失敗を認めている。最高人民検察院のニュース部門は国内メディアについて、独立性に欠け、政府対応の肯定的な面だけを強調する紋切り型の記事にあふれているとの憂慮を示した。同部門は先週、短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」に掲載した文書で、「ウイルスまん延との戦いにおける重大な岐路にありながら、笛吹きや太鼓打ちが不協和音をかき鳴らし、メディアの信ぴょう性を大きく傷つけている」と指摘。ジャーナリストは嫌気の差す情報に直面すると「自動的にふるいにかけ、耳をふさぎ、朗報ばかりを伝えて悪いニュースを報じない」と記した。