超低水準の債券利回りは「日本化」と経済停滞という憂鬱(ゆううつ)な概念を連想させる。だが、それはむしろ面目を保ちたいという中央銀行の願望を物語っているのかもしれない。25日のニューヨーク債券市場で米10年物国債利回りが一時、1.31%と過去最低水準を更新した。中国で発生した新型コロナウイルスの経済的影響が過去の流行よりもはるかに深刻なものになる可能性が警戒された。株価も今週に入り急落している。債券利回りは過去にも既にその水準をうかがったことがあったが、金利が極めて低水準にあったため、重大さが感じられなかった。米連邦準備制度理事会(FRB)は2012年と16年に政策金利であるフェデラルファンド(FF)レートをそれぞれ0~0.25%と0.25~0.5%に設定した。それでも米10年物国債利回りはそれらを優に上回る1.4%で推移していた。だが今、政策金利は1.5~1.75%に据え置かれている。