タイ・バンコク
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中国経済は成長の源泉から
リスク要因に変わった

 このところの世界経済を巡っては、米中による「第一段階の合意」の文書署名を経て米中摩擦が一時休戦状態となったことで不透明要因が解消されたかにみえた。

 しかし、昨年末に中国で発生した新型コロナウイルス(COVID-19)は依然として猛威を振るう状況が続いており、中国経済に打撃を与えることは避けられなくなっている。

 近年、中国を中心とするアジア新興国ではグローバル化の進展に併せる形で網の目のようにサプライチェーンが構築されている。中国の高成長も追い風に各国の経済成長が促される好循環がみられたものの、足元では一転してそうした状況がリスク要因となりつつある。

 東南アジアのなかでは製造業の集積度合いが高く、特に自動車関連産業が集積していることから「アジアのデトロイト」とも称されるタイでは、足元の中国国内での生産停止に伴うサプライチェーンの寸断が同国経済の痛手となることが懸念されている。

 実は、タイでは2011年にチャオプラヤ川流域で発生した大洪水の影響で同国内のサプライチェーンが寸断される事態となり、結果的にサプライチェーンが中国を含める形で海外に分散された経緯があった。

 つまり、タイに進出する日本企業をはじめとするグローバル企業は、同国に集中したサプライチェーンをリスク分散の観点から多角化したものの、足元ではそのことが新たなリスクを生む皮肉な結果を招いたといえる。