人気YouTuberグループ・東海オンエアの動画をきっかけに、「潰瘍性大腸炎」という病気が注目を集めた。同グループのメンバー・てつや氏(26)が排便の不具合を訴え大腸内視鏡検査を受けたところ「潰瘍性大腸炎の疑いあり」という診断が下り、1月に公開された動画内で「大腸がんじゃなくてよかった」と安堵する様子に対し、視聴者からは続々と心配の声が寄せられた。(清談社 松嶋千春)
安倍首相も罹患した病は
無症状で病気に気づかない場合も
語感からよくある胃腸炎の類かと思われがちだが、潰瘍性大腸炎は国の指定難病の1つで、大腸の粘膜が炎症を来し、びらんや潰瘍ができる。悪化すれば大腸を切除しなければならない可能性もあるなど、一生付き合っていかなければならない病だという。安倍晋三首相も潰瘍性大腸炎を患っており、第1次政権時、病状の悪化に悩まされていたともいわれている。
潰瘍性大腸炎の国内患者数は近年急増しており、約22万人(2015年全国調査)に上るが、詳細な原因は判明していない。東京医科歯科大学医学部付属病院消化器内科の長堀正和医師に、あまり耳慣れないこの病について教えてもらった。
「従来は北米やヨーロッパに多い病気といわれていましたが、東アジアや南米など、世界的に広がりを見せています。診断技術が進歩したというだけでなく、実際に罹患している人が増えています。食生活の欧米化による腸内環境の変化などが原因とも考えられていますが、はっきりしません。ちなみに、遺伝的な病気でも、細菌性のものでもありません」(長堀氏)
潰瘍性大腸炎にかかりやすいピークは、20~30代だといわれているが、未成年から高齢者まで、幅広い年齢層で発病するという。働き盛りの読者世代も例外ではないのだ。
「指定難病とはいっても、比較的軽症の人が多い病気です。下痢や血便、腹痛といった症状が出て内視鏡検査を受ける方もいれば、無症状のまま大腸がん検診を受けてみたら潰瘍性大腸炎の診断が下ったという人もいます。ときどき出血する程度だと、仕事を優先して検査は後回しにしてしまいがちかと思いますが、内視鏡検査をしてみないことには、罹患しているかどうか診断がつきません」(長堀氏)