東京駅前広場にあるカウントダウン時計は365日後戻りすることになりそうだ。安倍晋三首相は今週、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長と電話会談を行い、2020年の東京オリンピック(五輪)・パラリンピックを1年程度延期することで合意した。この決定は、競技出場を予定していた世界中のアスリートにとっても、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による損失を埋め合わせる経済効果を東京五輪に期待していた多くの日本企業にとっても、途方もない失望を与える。延期に伴う追加費用について、日本経済新聞は大会組織委員会が最大3000億円程度と試算していると報じた。これは近代五輪史上初めての経験だ。過去に中止はある――第1次世界大戦や第2次世界大戦によるものなど――が、延期されたことはない。日本はできる限り長く粘ったが、最後には他に実質的選択肢がないことを理解した。特にカナダとオーストラリアが今夏の不参加を表明したのが大きかった。もしIOCが延期に同意しなければ、多くの国が選手を派遣しない可能性が高く、派遣された選手は無観客で競技を行うことになるかもしれない。