新型コロナウイルスの感染拡大を受け、建設業界ではGW明けまで工事を中止する方針を掲げるゼネコンが相次いでいるが、工事を継続している現場も多数ある。そうした現場では、対策偽装が横行している。特集『日本企業 緊急事態宣言』の#23では、「コロナ対策偽装」の実態を暴く。(ダイヤモンド編集部 松野友美)
「マスク着けて、2メートル間隔」の現場写真
ホームページ掲載用に撮影した偽装だった
「写真を撮るからさ、みんな集まって。マスクを着けて、2メートル間隔を空けて」
大手ゼネコンが施工する首都圏のビル建設工事現場で、ゼネコン社員は下請けの職人たちに呼び掛けた。撮影の指示を出す声は笑っている。自分の言っていることが滑稽だからだろう。
「マスクをして2メートル空ける状態で仕事できるわけがないのに」と自分でツッコミを入れていた。
建設現場では、新型コロナウイルスの感染を防止するための「3密(密閉・密集・密接)」を避けることは物理的に難しい。マスクの着用は職人にとって邪魔くさい。人との距離に気を配っていては仕事が遅々として進まない。工事の進捗に合わせて、人々は入り混じる。