ソフトバンク#3Photo:Tomohiro Ohsumi/gettyimages

孫正義氏が10兆円ファンドで築き上げてきた「帝国」が揺れている。新型コロナウイルスが猛威を振るい、ベンチャー企業はリストラに躍起だ。特集『ソフトバンク巨額赤字の惨禍』(全6回)の#3では、危機に陥るユニコーンたちの苦悩を描く(ダイヤモンド編集部 村井令二) 。

ユニコーンIPO先送りで暗転
ビジョン・ファンドのドミノ倒し

 3月3日、米ニューヨーク市のミッドタウンは平穏だった。

 観光名所のタイムズスクエアから程近いフレンチレストラン「ル・ベルナルダン」を借りてイベントを開催したソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長は、その街が1カ月もたたずに新型コロナウイルスの感染者と犠牲者であふれてゴーストタウンと化すなど想像もできなかっただろう。

 イベントの名称は「プレIPOサミット」。孫氏と米資産運用会社ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)の主催で、ウォール街の投資家を招いて開かれた。

 孫氏が率いる10兆円規模のソフトバンク・ビジョン・ファンドが投資したユニコーン(企業価値10億ドル以上の未公開企業)を紹介するのが目的だったのだ。