ソフトバンク#5Photo by Reiji Murai

「笑われるくらい守りに徹する」――。コロナショックの暴風にさらされた孫正義氏はツイッターでつぶやいた。今後、虎の子の保有株を切り売りして臨む戦略の中身とは何か。特集『ソフトバンク巨額赤字の惨禍』(全6回)の#5で解き明かす。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

コロナの衝撃は予想以上か?
守りに転じた孫正義

「下がっているなら買い場ということだ」

 3月上旬、ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長は、まだ強気でいたようだ。新型コロナウイルスの感染拡大で金融市場の混乱が始まっていたが、むしろ新規のベンチャー投資を加速する意向を周囲に語っていたという。

 だが、コロナショックは予想以上に深刻で、そこから1カ月足らずでSBGは、ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業をはじめとする新規の投資を全面的に停止することを決めた。「攻め」から「守り」への急転換だ。