孫正義、大失敗の先 Series C
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ソフトバンクグループ(SBG)の巨額損失の元凶になったのが、10兆円の投資規模を持つ「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」だ。孫正義会長兼社長が情熱を注ぐこの巨大ファンドには脆さも見え隠れする。特集「孫正義、大失敗の先」(全7回)の第3回Series Cで、その実態を解明する。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

前代未聞の10兆円!
孫氏が自ら判断

 東京・汐留のソフトバンクグループ(SBG)本社。26階にある大会議室は、東京湾を見下ろす景観が圧巻だ。世界を飛び回る孫正義会長兼社長が日本にいる際は、この部屋で有力なベンチャー企業の創業者と会っている。

 孫氏は起業家のプレゼンテーションをじっと聴いていることもあれば、議論を仕掛けたり、関心の赴くままに起業家を質問攻めにしたりする。ソフトバンク・ビジョン・ファンドには12人のファンドパートナーがいるが、これという案件については孫氏自らが投資判断を下している。

 ベンチャー企業投資が世界的に活発化する中でも、ビジョン・ファンドの存在は突出している。ファンド規模は10兆円と、ベンチャーキャピタル(VC)ファンドとしては最大。1件当たりの投資規模は、最低でも1億ドル(約108億円)に上る。場合によっては数十億~100億ドル超の大型出資もある。前述のようなやりとりで、孫氏のお眼鏡にかなったベンチャー起業家は、ビジョン・ファンドの潤沢な資金で、ユニコーン(企業価値10億ドル以上の未上場企業)として成長するチャンスを獲得していく。

 ビジョン・ファンドの運用が始まったのは2017年5月。孫氏は今年5月の決算説明会で「ビジョン・ファンドへの情熱が私の情熱の97%。頭も胸もほとんどいっぱい」と語った。そうした情熱に後押しされ、投資に至ったベンチャー企業は9月末で88社を数える。