マスクから始まり、アルコール除菌スプレーにトイレットペーパー……。コロナ騒動以降、品薄が続き、困っている人も多いだろう。混乱が起きると、なぜ市場はこのような状況に陥ってしまうのだろうか? 「地理学」の視点から、世界のさまざまな現象を解き明かす『リアルな今がわかる 日本と世界の地理(だからわかるシリーズ)』の著者・砂崎良さんに、ビジネスパーソンなら知っておきたい基礎知識を教えてもらった。
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現代は大量生産・大量消費社会である。人々は都市に集住し、生産地から輸送されてくるモノを消費して生きている。このシステムを支えているのは「交通」である。19世紀後半から20世紀にかけて交通の技術革新が起き、自動車や高速道路、鉄道、巨大貨物船などにより大量輸送が可能になった。そして発生したのが、消費地と生産地とが離れる現象である。大消費地は地価が高いので、広大な農地・牧場などを要する生産地は、地価の安い、都市から離れた場所に位置するようになる。そしてこの生産地から都市へ向かって、物資が日々輸送され、都市住民を養っている。