電機・自動車の解毒#03
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新型コロナウイルスの感染拡大の悪影響をもろにかぶり、自動車メーカーが青息吐息だ。雇用から利益まで自動車に依存し切った日本経済へのインパクトは計り知れない。中でも深刻なのが、自動車産業を縁の下で支え、世界と伍して戦える競争力を生み出してきた下請け企業が壊滅的な打撃を受けそうなことである。特集『電機・自動車の解毒』(全17回)の#03では、コロナショックで解体的リセットが不可避となった自動車産業の窮状をお伝えする。(ダイヤモンド編集部 新井美江子、浅島亮子)

迫る非正規「雇い止め」の足音
製造業6月危機の現実味

 自動車をはじめ製造業には思い出したくない言葉がある。「派遣切り」「派遣村」というワードだ。

 2008年のリーマンショックを機に、派遣社員を含めた多くの非正規労働者が職を失った。社会的弱者を見殺しにする自民党政権に批判が集中、ついに雇用危機が政権交代にまで発展する事態になった。それから12年。今も安倍政権が最も恐れているのは、政権を転覆させるだけの威力を持った雇用危機であろう。

 製造業6月危機――。コロナショックを受けて、非正規社員の仲介業務を行う人材サービス会社は、製造業で働く派遣労働者の“雇い止め”が起こるのではないかと戦々恐々としている。

 派遣労働者の契約期間は「3カ月」が一般的だ。ある人材サービス会社幹部は「この4〜6月の3カ月間の労働者派遣契約の更新は2月下旬に行われた。つまり、次の7〜9月分の更新は5月下旬。自動車工場の再開見通しが立たない現状では、雇い止めは避けられないだろう」と身構えている。

 リーマンショックのときと違うのは、派遣労働者を使っている派遣先企業(自動車メーカーなど)が、契約期間の途中で契約を破棄する“派遣切り”ではなく、契約期間が終了する“派遣の雇い止め”で対応しようとしていることだ。政権のみならず、製造業も社会的批判を避けるため、できるだけ穏便に従業員をリストラしようとしているのだ。

 今回のコロナショックが製造業の雇用へ与えるインパクトは大きい。すでに、昨春より製造業の有効求人倍率が低下しているところにコロナショックが起きた。リストラの手法が穏便になろうとも、雇用が消える実態はリーマンショック時と変わらない。