日本の電機業界の優等生と見られてきた三菱電機が変調を来している。低収益事業を売却し、競争力の高い事業で安定的に収益を上げてきたが、この勝ちパターンが通用しなくなっているのだ。特集『電機・自動車の解毒』(全17回)の#09では、曲り角を迎えた三菱電機が抱える構造問題に迫った。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)
「バランス経営」が崩壊
深まる産業機器への依存
景気変動の影響を受けやすい工場自動化機器に依存してきたツケが回ってきた――。昨年来、中国の景気減速のあおりを受けていた三菱電機にとって、新型コロナウイルスの感染拡大は泣きっ面に蜂だった。
三菱電機の杉山武史社長は昨年11月、ダイヤモンド編集部のインタビューにおいて、「いまが工場自動化機器の底とは言い切れない。回復は春以降になると思うが、それが春先なのか夏以降なのかは見通せない」と話していた。こうした先行き不透明な状況に、コロナが追い打ちを掛けたのである。