電機・自動車の解毒(2)
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東芝の車谷暢昭社長は、新型コロナウイルスの経営への影響は限定的であり、むしろ東芝のデジタル事業にはチャンスになるとの認識を示した。オフィス面積を現在の半分にすることも視野に働き方改革を進めるという。特集『電機・自動車の解毒』(全17回)の羅針盤なき経営(2)では、コロナをチャンスに変える東芝の戦略に迫る。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

世界で2000兆円の需要が蒸発
4000兆円規模の財政出動が必要だ

――新型コロナ発生後の世界経済はどうなるとみていますか。

 1930年代の大恐慌では、蒸発した需要を政府が財政政策で埋めようとしました。しかし、それでは不十分で、結果的に、第2次世界大戦につながりました。その後、国際連合ができ、自由貿易をはじめとしたグローバリズムが定着することで戦後の繁栄が築かれました。

 そのグローバリズムが行き着いた果てに発生したのが、今回の新型コロナウイルスです。70年以上続く「戦後システム」がウイルスから挑戦状をたたきつけられているともいえます。われわれは、コロナまん延と世界経済の低迷との長い戦いを覚悟しなければいけません。

 これまでパンデミック(世界的大流行)はテールリスク(市場において、まれにしか起こらないはずの暴騰・暴落が実際に発生するリスク)として認識されてきましたが、今回それが現実のものになりました。もう一つのテールリスクが、原油をはじめとした資源価格の低迷です。資源国であるタンザニアは、銅価格の下落によって公的債務の支払いが難しくなっているようです。かつては国際通貨基金(IMF)が人を投入して支援したり、資金を出したりしていましたが、現在はそういうオペレーションも難しいと考えます。

 この原油安では産油国の財政が赤字になり、不健康な状態が続くことになります。財政の弱い国から順に崩れていき、最終的にグローバルな金融危機へと発展するリスクが相当高いとみています。

 パンデミックの影響は3年ぐらい続くでしょう。2020年に1000兆円以上の世界需要が蒸発するとみています。自動車の販売台数も2~3割落ちるという予測がある。その先も、21年の需要は前年の半分の約500兆円、22年はそのまた半分の250兆円の需要が蒸発すると仮定すると、3年で総額2000兆円近くになります。失業者が増えて各国の財政は逼迫。金利が上がる可能性もあります。対応を誤ると、大恐慌のような状況に陥りかねません。

 これまでに主要国が打ち出した経済対策の規模では、需要の蒸発を埋め合わせることはできません。とすると、経済のV字回復は期待できない。せいぜいできてもL字回復というところでしょうから、3~5年ぐらい経済は低成長になるとみています。