創業100周年を迎えるシャープが、過去にない経営危機に陥っている。主力の液晶テレビ、太陽電池の巨額赤字が止まらぬ中、生き残りへのシナリオはあるのか。奥田隆司社長が本誌の独占インタビューで語った。(「週刊ダイヤモンド」編集部 後藤直義)

おくだ・たかし/1953年8月19日生まれ。大阪府出身。名古屋工業大学大学院修士課程工学研究科を卒業後、シャープへ入社。AVシステム事業本部長、海外生産企画本部長などを経て、今年4月に社長に就任。座右の銘は「現場主義」。(訂正とお詫び:「週刊ダイヤモンド」9月1日号の記事では奥田氏の略歴に一部間違いがありました。上記の通り、「奈良県出身」は「大阪府出身」の、「名古屋大学」は「名古屋工業大学」の、「代表取締役社長」は「社長」の誤りでした)
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──8月2日に発表した第1四半期の赤字決算を受けて、経営危機について懸念が高まっている。

 決算発表以降、報道機関がシャープについてたくさんの情報を発信している。シャープの株価も大きく下落した。事実でないことも、ずいぶんメディアから発信されている。

 正直申し上げて、取引先の方からもずいぶんと心配の声があり、商売にとても影響が出ている。その辺の真偽について、ステークホルダーの方に対して事実でないと説明に走り回っていた。

 (お盆の)連休中も会社に来ていた。国内・海外共に多くの方から心配の声が寄せられた。業績と信頼の回復が一番という認識の下、こういうときこそ一枚岩になって、公表した業績をきちっとやり遂げる努力をする。私自身も不退転の覚悟で邁進している。

──財務状況の悪化や、急増したCP(コマーシャルペーパー。無担保の約束手形)など資金繰りについての不安が膨らんでいる。