株価の上昇トレンドにうまく乗るためには、どのような業種が今の相場にマッチしているかを知ることが重要である。

 年初から現在までの値上がり率を比較し、まず東証33業種の中で日経平均株価を上回った建設、食料品、医薬品、ゴム製品、輸送用機器、精密機器、証券・商品先物、その他金融、保険、不動産、陸運、サービスの12業種に注目。これら勝ち組セクターで今後に期待できるのは過去の例から証券・商品先物、不動産、保険、輸送用機器の4業種とみている。

 東京株式市場は上昇基調に転じてきた。日経平均株価は7月高値(9106円)を上回り、いわゆるダブルボトムをつけて、チャート面からの買いシグナルが点灯した。

 株価上昇の背景としては、主に外部環境の変化が挙げられる。欧州債務問題は、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁による「ユーロを守るために必要なことは何でもする」との発言をドイツのメルケル首相が支持する姿勢を示したことで一服した。無制限に重債務国の国債を買い上げるとの観測(当局は否定)も出るくらいだ。

 米国経済減速懸念も、雇用統計や小売売上高などで市場予想よりも良好な数値が相次いで発表され、和らいだ。そのため、米連邦準備制度理事会(FRB)による量的金融緩和第3弾(QE3)観測が後退、米10年物国債利回りが1.8%超と約3カ月ぶりの高水準にまで上昇を続けた。

 これにより日米金利差が拡大、為替市場では米ドルが対日本円で7月下旬以降のボックス圏の上限を突破し、1ドル=80円に向けて円安傾向を強めたことも日本株上昇の牽引役になった。