コロナ危機によって不動産売買の取引がパタリと止まった。多くの買い手が決断にひるんだ。この機を狙おうという者はいても、事は思い通りに進まない。買おうにも、金融機関からの融資が出なくなったのだ。特集『バブル崩壊 不動産withコロナ』(全12回)の#6では、取引が氷結した瞬間と融資の実態に迫る。(ダイヤモンド編集部 大根田康介、臼井真粧美)
不動産売買は世界的に新規案件が激減
国内でも至る所で契約が破談
新型コロナウイルス感染拡大の影響が先進各国で広がった3月中旬から、不動産売買は世界的に新規案件が激減し、国内でも至る所で契約が破談するようになった。
理由は三つある。
一つ目として、大型案件を扱う大手ファンドは米国、中でもニューヨークに本部を置くところが多い。彼らがコロナ対策で外出できずに案件を進められなくなった。日本でも緊急事態宣言が発出されると、大手業者の業務が進まず、個人が買う住宅から企業が買うビルまで止まっていった。
もう一つは、買い手側の懐事情だ。企業は自社の株価が下がり、今後の資金繰りに不安を持ち始めた。個人投資家は将来のサラリーを心配するようになった。株式投資で損を出した者もいた。
最後の一つは、金融機関から融資が出にくくなったことだ。