大手不動産6社のうち、今期予想を出した5社は全て減益を見通す。中でも減益幅が大きいのが最大手の三井不動産、そして東急不動産だ。両社とも、強みとしていたビジネスがコロナ危機で一転、アキレス腱となった。今期の利益予想では、住友不動産が三井不動産から首位を奪取している。特集『バブル崩壊 不動産withコロナ』(全12回)の#11では、決算分析を通じて大手不動産に訪れた転換点を伝える。(ダイヤモンド編集部 大根田康介)
首位の座を固めた三井不動産に
コロナショックが強く表れた
2008年のリーマンショックを経て、新築マンション市場は大手が牛耳る世界になった。マンションデベロッパーは7割以上が淘汰され、「メジャー7」と呼ばれる三井不動産、三菱地所、住友不動産、東急不動産、野村不動産、東京建物、大京による寡占化が進んだ。今や首都圏の新築分譲マンション供給は、メジャー7がシェアの半分近くを占めている。
寡占化によって新築分譲マンションは価格の引き下げに走るプレーヤーが姿を消し、売り急がず値崩れが起きにくい世界となったのである。
マンション業界の変化は、おおよそ不動産業界全体を物語っていた。さすがに寡占とはならないが、大手勢が圧倒的な力を持ち、中堅以下と一線を画している。そんな大手の中でも首位の座を固めてきたのが三井不動産だった。
ところがコロナ危機は、盤石と思われていたポジションにまでひびを入れた。メジャー7のうち、マンションだけでなくオフィスビルなどを総合的に扱う大手6社の決算を比較すると、三井不動産にコロナショックが強く表れている。
何が三井不動産を苦しめているのか。今期の業績予想を、営業利益の内訳、さらにその先まで突き詰めて見ていくと、答えが出てくる。