大観衆を前にすることに慣れたハイテク大手にとって、在宅勤務は全く新たな意味を持つようになった。その最新事例となったのが、アルファベット傘下のグーグルだ。同社は10日、最新版のモバイル端末向け基本ソフト(OS)「アンドロイド11」のベータ版をリリースした。通常なら5月に開催する開発者会議「I/O」で行うのが慣例だが、今年は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)で会議は中止となった。これに代わり、仮想イベントを先週行う予定だったが、黒人男性ジョージ・フロイドさんの殺害事件に端を発する抗議デモの拡大で、こちらも中止に追い込まれた。グーグルのOS更新は、シリコンバレー本社に数千人の開発者やファンを集めることができたとしても、常に目玉ニュースだったわけではない。グーグルがどのようなものを開発したとしても、全体の状況を大きく変化させるようには見えないことがその一因だ。インターナショナル・データ・コーポレーション(IDC)によると、アンドロイドは2014年以降、毎年販売されたスマートフォンの約85%に搭載されており、残りはアップルの「iOS」が占める。グーグルはアンドロイドの成果を誇示するため、自社でハードウエアを手掛けるようになっているが、グーグル製のデバイスの販売台数は、アップルや韓国サムスン電子、その他の大半のメーカーの足元にも及ばない規模だ。
最新アンドロイド、リモート時代に「地味デビュー」
派手なライブイベントができない中でテック大手が苦心
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