【一般社員のお悩み(2)】
さぼっていると思われないか不安です

Q.オフィスと異なり、仕事のプロセスが見えにくいので上司から仕事をさぼっていると思われないか不安です。オフィスでは、上司のそばで仕事をしていたので、任されていた仕事をしっかり頑張っていることは伝わっていたと思うのですが……

 そのような不安を抱くのは、よく理解できます。テレワーク下では、部下の姿が見えないこともあり、普段は部下の業務プロセスを気にしない上司までマイクロマネジメントをし始める傾向があります。前出の当社の調査によると、「部下がさぼっていないか心配である」と回答したテレワーク経験のある管理職は、56.9%に上ります。しかし、心配だからといって、上司から何度も「ちゃんと仕事をしているか?」「仕事の進捗はどうか」と聞かれたら、あまり良い気持ちはしませんね。

 上司が部下に対して「仕事をさぼっているのではないか」と感じる場合、部下が心身を健やかに保ちつつ、仕事で成果を上げられるかどうかについて不安を抱いている可能性があります(それが、「人はさぼるものだ」といったステレオタイプな考え方から生じることも、特定の個人に向けての評価・見立てから生じる場合もあります)。

 また、最近の管理職は、働き方改革をきっかけに、コロナ前から部下を早く帰宅させるために仕事が増えています。当社が行った『「働き方改革」と組織マネジメントに関する実態調査』(2019年)でも、働き方改革によって部門や職種を問わず「管理職の負荷が増大」していることが明らかになっています。

 上司の行動も大切ですが(管理職の行動についてはこちらで取り上げています)、上司側が何か行動を起こし、ケアしてくれることをひたすら待つのはきっとつらいですよね。そこで部下は、上司がそんな気持ちになりやすいことを理解した上で、自分からの「報連相(報告・連絡・相談)」を心がけることが大切です。

 例えば、「この前相談したA社のプレゼン、4社のうち2社に残れました。結論は○日に出るようなので、またご報告します」のように、成果だけではなく、途中経過や進捗など、上司が気になりそうなことを報告するといいでしょう。上司から尋ねられる前に報告している人には、「ちゃんと仕事しているか?」とは聞いてこないはずです。こうした行動によってあなたに頼もしさを感じて、上司も安心して仕事を任せてくれるようになるはずです。

 ちなみに、ここまで、「さぼっていると思われるのが不安」に答えてきましたが、今後こうした悩みは減っていくかもしれません。テレワークの推進で生じたこの悩みは、主として仕事のプロセスに関わるものです。テレワークが進むと、仕事の成果は何かを明確にしたうえで、成果に至るプロセスは個人に任される働き方の方が望まれることが想定されます。

 実際に、企業の管理職の皆さんから、「テレワークになってから、本当に仕事をしている部下とそうでない部下がより明らかになった。仕事をしている部下をきちんと報いたい」「ビジネスそのものや仕事の仕方が変わってきたので、何を成果とするかを改めて検討したい」という話を聞きますが、こうした声にもそのような兆しが見てとれそうです。