コロナ禍で大打撃を受ける外食業界の中で、最も厳しいのが居酒屋業態。全体の1割強に当たる65店舗を閉店すると発表したワタミ。特集『ポストコロナ「勝ち組」の条件』(全18回)の#6では、「居酒屋の市場は7割になる」と語る渡邉美樹会長に今後の戦略を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 山本興陽)
居酒屋が社会の枠組みから外された
マーケットは7割になる
――コロナ禍は、居酒屋の何を一番変えたのでしょうか。
社会的な存在、立ち位置が大きく変わりました。今までは、日常の中で、友達が集まれば居酒屋で楽しく食事をするという行動があり、確実に社会の重要な役割を果たしていた。
それが今回のコロナ禍で、そうした行動を外した社会をつくっていこうという流れになっています。大きな転換点です。
――居酒屋の経営者として、どういう気持ちですか。
一ついえるのは、「不要不急の外出を控えよう」といわれていますけど、確かに居酒屋は不急ではないですね。急いで居酒屋に行く必要はありませんから(笑)。
ただ、本当に不要かといえばそうではない。人との触れ合いやコミュニケーションの観点からいえば、必要だと考えます。ですから、「居酒屋は必要なものだ」と今後も社会の中でしっかりと位置付けていくことが重要でしょう。
私にとって居酒屋は、単にものを食べる場所ではありません。食べる場所であると同時に、人が元気になる場所です。人が元気になる場所がなくなっていいのかという思いはあります。
――コロナ禍で「オンライン飲み会」という新しい動きが始まっています。
人間というのはやはり、空気でものを感じます。居酒屋がオンラインに変わるなんてことは、あり得ません。
ただ間違いなくいえるのは、居酒屋のマーケットはこれから縮むということ。私は3割ぐらい縮むだろうと考えていて、現状の7割ぐらいになると思います。