“店内飲食主義”を掲げ、「デリバリーはやらない」と明言していたサイゼリヤの堀埜一成社長。ところが新型コロナウイルスの感染の拡大を受け、方針転換。一部店舗でデリバリーの実験を7月から開始することを決めた。特集『ポストコロナ「勝ち組」の条件』(全18回)の#7では、堀埜社長を直撃し、サイゼリヤ流のポストコロナの戦い方を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 山本興陽)
コロナ禍は人々の「感覚」を変えた
店舗という“触れ合いの場”を提供することが使命
――新型コロナウイルスの感染拡大で、人々の消費行動や価値観はどう変化したと考えていますか。
まず、人々の「感覚」が変わりました。くしゃみや咳をされたら一歩下がる。電車で隣に座るのは気持ち悪い。これはどうも感覚だな、と。感覚が変わり、考え方が変わって、行動が変わるという順番です。
――サイゼリヤとして、どのように変化に対応しますか。
世の中がITやリモートの方向に動けば、絶対反動が出てきます。リアルの場を提供し続けることがわれわれの使命。人との触れ合いを提供する場として、店に来てもらうということを今まで通りやります。
加えて、テークアウトへの対応は必要でしょう。テークアウトをやると、会社の机や公園のベンチすらサイゼリヤの食卓になりますから。
――テークアウト市場は、外食とは別の業界と争うことになります。
うちの強みは何か、特徴がどこにあるのかというところが大きなポイントでしょう。今までやってきた“Make Your Favorite”というのは、まさにわれわれの強み。要は、いろいろなものを組み合わせて食べてみてということです。
店舗のテーブルには、さまざまな無料の調味料が置いてありますよね。最後は、自分好みの料理に完成させてくださいということなのです。シェフがいるレストランではこういったことはできませんからね。つまり、われわれの強みは“未完成”で出していることなのです。