ドイツ決済サービス会社ワイヤーカードの不正会計スキャンダルは、スタートアップ企業を次の「ユニコーン(企業価値が10億ドルを超える未上場企業)」に育成しようと規制緩和に動いていた当局に、タイムリーな教訓を与える形となった。投資家もさらに警戒を強める必要がある。ワイヤーカードは25日、支払い不能および過剰債務を理由に、破産手続きに着手した。ドイツ当局者は同社を巡りくすぶっていた不正疑惑に対する調査を怠った(しかも退けてさえいた)として、非難を浴びている。規制当局は、かつて市場の寵児(ちょうじ)だったワイヤーカードの監視役というよりは、むしろ「チアリーダー役」に徹していたようだ。これは、投資家により広範な学びの機会を提供する。欧州のフィンテック(金融テクノロジー)会社の多くには、当局の規制が行き届いていない。消費行動や金融サービスの利用に革新をもたらすと期待されていた同業界に対して、規制当局がイノベーション(革新)や成長を促そうとしていたという事情が背景にある。そのため、投資先企業の真価を見極める上で、株主が一段の責任を負う構図となっている。
ワイヤーカード転落、甘やかした当局に痛い教訓
規制当局は監視役ではなく「チアリーダー」に
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