コロナ禍を受けて、世界的に広がった金融緩和。消費セクターを中心とする企業の連鎖倒産を防ぐ狙いだが、あふれ返る流動性は金融ビジネスを着実に変える。特集『外資コンサル総力解明 7業界の生存戦略』(全12回)の#7では、アフターコロナに金融業界で進む変化の本質を、ベイン・アンド・カンパニーが企業に示す。関係者必携の業界の打撃と展望が一目で分かる「ティアシート」(B4判)付き。(構成/ダイヤモンド編集部 田上貴大、杉本りうこ)
コロナが棚上げにしてきた
経営課題を突き付ける
コロナ禍は実体経済に大きな打撃をもたらした一方で、金融経済においては現在までのところ、深刻なダメージを与えてはいない。これが2008年のリーマンショックとは異なるところだ。当時と比べて、金融機関のバランスシートが改善していることも大きい。ただアフターコロナの社会変化は金融機関に対し、これまで棚上げにしてきた経営変革を促す作用がある。銀行各行にとっては、コロナショックで傷んだ融資先が経営破綻するリスクがくすぶっており、ウオッチを怠れない状況だ。
(1)コロナの打撃
生命保険業界はコロナ禍を受け、対面営業に影響が生じた。企業によっては、対面営業が半減したところもある。