コロナで崩壊寸前!どうなる!?エンタメ#16Photo:Hiroyuki Ito/gettyimages

楽天の三木谷浩史会長兼社長をはじめ、財界の大物が国内オーケストラの理事長を務めていることをご存じだろうか。特集『コロナで崩壊寸前!どうなる!?エンタメ』(全17回)の#16では、彼らがオケに対して果たす役割や、歴史的にもそうそうたる面々がオケ役員に名を連ねてきた理由を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

バリトン歌手として名をはせた
元ソニー社長の大賀氏も理事長の過去

 楽天の三木谷浩史会長兼社長、オリックスの宮内義彦シニア・チェアマン、旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)の澤田秀雄会長兼社長……。いずれも財界の大物として知られる人物だが、彼らに共通していることがある。国内のプロオーケストラで理事長を務めていることだ。

 それぞれ、三木谷氏は東京フィルハーモニー交響楽団、宮内氏は新日本フィルハーモニー交響楽団、澤田氏は東京交響楽団に籍を置く。彼らだけではない。関西では大和ハウス工業の樋口武男会長が大阪交響楽団、ダイキン工業の井上礼之会長が関西フィルハーモニー管弦楽団の理事長を務めている。

 さらにオケの役員レベルに広げると、新日本フィルでは三井住友フィナンシャルグループの國部毅会長や久保哲也元副社長、東京交響楽団は元経済財政政策担当相の竹中平蔵氏やドワンゴの夏野剛社長が理事を務めるなど、ビジネス界でよく知られたそうそうたる面々が名を連ねているのだ。

 歴史的な財界人の大物としては、かつてソニーの社長・会長を務め、バリトン歌手としても名をはせた大賀典雄氏が、1999年から東京フィルの会長兼理事長を務めていた。

 大賀氏は東京芸術大学音楽学部を卒業後、ドイツのベルリン国立芸術大学音楽学部に留学し、首席で卒業した筋金入りの音楽家。数年後にソニーに入社し、しばらくの間、昼は社員として働き、夜は音楽家として活動をする“二足のわらじ”を履く生活を送っていた。晩年は財界人としての活動の傍ら、東京フィルなどで指揮することが何度もあった。

 大賀氏ほどの本格派はまれだとしても、財界の大物が脈々とプロオケの理事長を務めてきたのには、それなりの理由がある。

 実は、財界人が理事長をはじめとしたオケの役員であることは、双方にとってメリットがあるといえるのだ。また、その役割は時代を経るごとに変化してきた側面も大きい。次ページからは、現在オケの役員を務める財界関係者ら約30人のリストとともに、その歴史から現在までをひもといていこう。