コロナで崩壊寸前!どうなる!?エンタメ#8
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「ドラゴンクエスト」「ファイナルファンタジー」という往年の二枚看板ゲームで知られるスクウェア・エニックス。特集『コロナで崩壊寸前!どうなる!?エンタメ』(全17回)の#8では、松田洋祐社長にゲーム業界のアフターコロナ時代のありようを聞いた。松田社長は「ゲーム開発で蓄積してきた“人のモチベーションを上げる”UIの技術やゲーム用AIは、ゲーム以外の社会にも広く応用が可能だ」と主張する。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

ゲーム市場が今後も伸び続けるかどうかは
慎重に見るべきだ

――コロナ禍によるゲーム事業への影響はいかがでしたか。

 発売が遅延したものも含み、ゲームタイトルの売り上げに対するマイナスの影響はないのですが、スクウェア・エニックスはタイトーステーションというゲームセンター事業を抱えていて、4~5月の休業要請で相当なダメージを受けました。ステイホーム期間を経て、ゲーム市場には追い風が吹いていますが、今後経済活動が再開された後もこの状況が続くか、それとも一過性のものなのかは慎重に見るべきだと考えます。新規のユニークユーザーベースで市場が増えているのかどうか、測定は難しいです。 人には一日24時間しかない。その中で仕事や家事・育児、テレビなど他のエンタメ業界の競合との「時間の奪い合い」の競争に勝たなければならない、ということ自体は変わりませんからね。比較的市場が堅調のように見えても、最悪の場合を想定して今期予想を据え置きにしているのはそのためです。

――コロナ禍を経てゲーム業界にどのような変化が起こっていますか。

 最も大きいのは、流通経路でしょうね。

 コロナ禍のさなかの4月に「ファイナルファンタジーVII リメイク」が発売となりました。開発自体はかなり前に完了していたのですが、パッケージソフトの生産工場が、販売量の大きい欧米で2~3月は完全にストップ、小売店も閉店してしまいました。ファイナルファンタジーのような大型タイトルの場合、ゲームソフトにとって最も大切な初動販売は、多くを店頭パッケージ販売が担っています。日本でも世界でも同じですが、今回は店頭販売ができず、在庫を抱えないよう適切な量に生産を調整せざるを得ませんでした。すると、圧倒的にダウンロードの比率が高くなった。発売後3日間で350万本を販売しましたが、その40~50%がダウンロードによるもの。これは今までにないことでした。今後もこの流れは続くのでしょうね。

――「あつまれ どうぶつの森」のヒットが話題になりました。遊ぶことよりつながることを目的にしたゲームは増えるのでしょうか。

 ゲームを通じてつながることで癒やしを求める層が相当数いたのは間違いないですね。「フォートナイト」などもそうですよね。今までもそういう要素はあり、YouTubeのゲーム実況もそうなんですが、世界中の人がステイホーム期間中にコミュニケーション面が強いゲームで遊ぶ時間が増えたことはあるかと思います。ただ、ゲームのジャンルってものすごく幅が広いですからね。さまざまなジャンルのものが全部このタイプに集約されるとは考えませんが、今後はそういった「つながり」の要素をユーザーが求める傾向がより強まることを念頭に置いて、開発を行うべきでしょうね。

クラウドかクラウドでないかの議論は意味がない、
「面白いゲーム」を作れるか否かだ

――グーグル、アマゾンなどのGAFA陣営がクラウドゲームの開始を表明しています。書籍や映画や音楽がたどったように、物理パッケージ媒体は全滅してクラウドからのストリーミングデータに取って代わられるという未来が、ゲームについても実現してしまうのでしょうか。