アップルはなぜ「外れやすいMac 電源アダプタ」を開発したのか
イノベーションの源泉となる発想とは? Photo:PIXTA

視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のチーフ・エディターである吉川清史が豊富な読書量と取材経験などからレビューします。

イノベーションの源泉となる
「だったら○○しなければいい」という発想

 何世代か前までのアップル製のノート型パソコン(MacBook Pro、MacBook Airなど)の充電・電源用アダプターには「MagSafe」と呼ばれる独自の規格が採用されていた。現行モデルのコネクターはUSB-Cであり、穴にカチッと差し込むものだが、MagSafeは、マグネット(磁石)で軽くくっつくようになっていた。

 一般的な感覚では、パソコンの電源コードは「抜けたら大変」と思うものではないだろうか。ノートパソコンにはバッテリーがあるのでまだ安心だが、デスクトップ型の場合、作業中に、誰かが足を引っかけるなどして電源コードが抜けると、大事なデータが飛んでしまったりして、最悪の場合故障しかねない。だから、電源アダプタは、カチッとはまっていたほうが、気分的に安心なのだ。

 だが、MagSafeは、前述のように弱い磁石でくっついているだけなので、軽めにコードを引っ張っただけでも、電源コードが外れてしまう。MagSafeという名称は、Magnet(磁石)とSafe(安全)を組み合わせたものだと思うが、いったいどこが「安全」だというのだろうか。