大恐慌襲来#6
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コロナショックで業績が急激に悪化する大企業が続出している。これを受けて、日本政策投資銀行や産業革新投資機構(JIC)などを通した公的支援スキームの活用が現実味を帯び始めた。その対象となる救済企業として名前が挙がっているのは、ANAホールディングスや日産自動車といった赤字転落企業だ。それに加えて、ある重厚長大企業の名も取り沙汰されている。特集『大恐慌襲来 「7割経済」の衝撃』(全22回)の#6では、公的支援スキームの全貌を明らかにし、その対象候補企業を予想する。(ダイヤモンド編集部 新井美江子、浅島亮子)

公的支援が有力な二大企業
ANAと日産の「憂鬱」決算

 7月29日、ANAホールディングスは2020年4〜6月期決算を発表。新型コロナウイルスの感染拡大により国内線・国際線とも旅客数が激減し、同期決算で1590億円の営業赤字、1088億円の最終赤字となり、四半期決算の開示を始めて以降、最悪の決算となった。

 ANAが決算を発表した前日の28日、日産自動車の決算でも壊滅的な数字が並んだ。中でも、21年3月期の最終損失見通しが6700億円に落ち込んだことに、取引先金融機関は「最終赤字の幅を2000億円くらい甘く見ていた。これから財務内容を精査しなければならない」と意気消沈する。

 みずほ銀行など取引先金融機関は、財務健全化のために、日産が75%を出資する部品メーカーのジヤトコ株式の放出を狙っているくらいだ(本特集#3「自動車部品メーカーの「身売り」続出、日本電産と商社が買収に名乗り」を参照)。

 大手企業の急激な業績悪化を受けて、「国の金」を投入する公的支援スキームの活用が現実味を帯びている。ANAや日産は、その対象となる救済企業の有力候補である。

 民間企業に「国の金」を入れて経営をバックアップする公的支援スキームには、大まかに言えば三つの手段がある。

 一つ目は、日本政策投資銀行(DBJ)や商工中金を通して、融資や出資(劣後ローンなど資本性融資を含む)を行う方法。二つ目は、地域経済活性化支援機構(REVIC)が金融機関等と組成したファンドを通して出資を行う方法だ。

 最後の三つ目は、産業革新投資機構(JIC)グループが傘下に組成したファンドを通して出資を行う方法である。

 中でも、このJICを活用したプランに注目が集まっている。すでに7月に、JICはベンチャー企業を対象とした1200億円規模のJICベンチャー・グロース・インベストメンツを設立。続いて、秋口をめどに大手企業向けのプライベート・エクイティファンド(PEファンド)を数千億円規模で立ち上げることを表明している。

投資余力3兆円の官製ファンドに
超大型案件を組み入れる「秘策」

 このPEファンドこそ、コロナの影響で業績悪化に低迷した大企業の受け皿となるのではないかといわれている。政府の第2次補正予算で、JICに政府保証枠1.5兆円が追加されたことにより、JICグループの投資余力は総額3兆円規模まで膨らんだ。

   JIC関係者によれば「大企業向けファンドの投資規模は2000億円からスタートする予定だが、いざ大型案件が舞い込んだときのために“ある秘策”を用意している」という。