コロナが映す医療の闇#12
Photo by Masato Kato

新型コロナウイルス感染症の治療薬やワクチンの開発競争に、塩野義製薬が名乗りを上げた。同社は感染症領域では世界有数の製薬会社に数えられる。特集『コロナが映す医療の闇』(全14回)の#12では、塩野義の手代木功社長が候補薬の狙いやコロナ時代の業界像を語った。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

世界有数の感染症に強い製薬会社として、
コロナでも「強い抗ウイルス剤」を作りたい

――塩野義製薬はHIV(エイズウイルス)治療薬など感染症領域で世界有数の強さを示してきました。今研究開発中の新型コロナウイルス感染症の治療薬(臨床試験入りは年度内予定)やワクチン(同、年内予定)でその強みは生かされていますか?

 治療薬はうちの強みが出ていると思います。例えばレムデシビル(編集部注:米ギリアド・サイエンシズ製のコロナ治療薬で日本では5月に特例承認)にしても、果たしてどのくらい明確な抗ウイルス効果があるのでしょうか。少しはウイルス量を下げていますけれど、すごく強い抗ウイルス剤ではないですよね。

 われわれのゾフルーザ(編集部注:塩野義が2018年に製品化したインフルエンザ治療薬)みたいに一日でウイルス量がほぼほぼゼロになりますっていうぐらいの抗ウイルス効果が明確で、なおかつ安全で有効というものではありません。やっぱりコロナ治療薬でもそういうものは必要だろうと思っています。

 今は別の疾患を対象に開発中、開発済みの薬がなんとかコロナにも転用できないかということで、世界中でコロナ治療薬の開発が進んでいます(編集部注:WHO〈世界保健機関〉国際臨床試験登録プラットフォームによると、臨床試験中の約9割が転用)。これはこれで妥当ですけれども、われわれは本当に抗ウイルス効果があり、ゾフルーザ級の強さで、かつ安全性の高いものを一から作れないかと考えています。