米国トランプ政権がTikTokへの強硬姿勢を鮮明にしたのに続き、日本国内でもTikTok規制の動きが出ている。そしてこの規制の構想では、TikTokのような中国アプリだけでなく、日本人が幅広く利用しているLINEまでも対象となる場合があるようだ。特集『ここからが本番 TikTokの大問題』(全5回)の最終回では、TikTok問題の余波の大きさを伝える。(ダイヤモンド編集部副編集長 杉本りうこ)
TikTok規制の提言は
間もなく政府に提出される
日本の政界でTikTok規制の動きが明らかになったのは7月下旬。自民党の有志議員でつくる「ルール形成戦略議員連盟」(会長:甘利明税制調査会長、参加議員数約110人)で、TikTokをはじめとする中国のアプリを規制する議論が本格化した。議連の関係者によると、議論の結果は順調なら9月10日ごろに政策提言として政府に提出される見通しだ。
規制の動きが明らかになった時期は折しも、日本国内でTikTokの露出度が高まっている時期だった。TikTokは現状、10~20代の女性を中心とする若者に人気だが、このユーザー基盤をより年齢層の高いビジネス層に移行させたいというのがTikTokの方針。広告収入が収益源のため、より消費力のあるユーザー基盤を持つことが重要だからだ。このためTikTokは今夏、テレビやインターネット、街頭での広告出稿を急拡大させていた。コロナ禍で広告市場が急収縮していた中、TikTokの大量出稿は消費者から見ても非常に目立つものだった。この結果、TikTok規制の報道は皮肉にも、「ちょうど広告で見たあのTikTokの話か」と注目を集めてしまう事態になった。
国内におけるTikTok規制の動きは当然ながら、先立つ米国の動向と足並みをそろえたものだ。ではそもそも米国ではなぜ、TikTokが問題視されるに至ったのか。改めて振り返ろう。