――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
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米著名投資家のウォーレン・バフェット氏は今週、日本の5大商社に対する60億ドル(約6400億円)相当の出資を明らかにした。同氏としては、数少ない海外投資だ。だが、8月28日に公表されたデータからは、バフェット氏が他の外国人投資家の動向に逆行していることが見て取れる。
安倍晋三首相が辞意を表明した先週は、偶然にもアベノミクス絡みの日本株への資金流入が完全に反転したタイミングとも重なった。
安倍氏が2012年12月に選挙で勝利した週から15年6月末までに、外国人投資家は25兆円近くの日本株を買い越した。それ以降は日本株の保有を段階的に減らしており、8月29日時点で、国内投資家は安倍政権下において13億円の日本株を売り越している。
多くの点で、日本市場は目下、まさに「バフェット氏好み」の様相を強めている。ベテラン投資家であれば、日本がかつてグロース市場だとみなされていた頃を覚えているだろう。日本株のバリュエーションは当時、米国だけでなく世界の大半に比べて著しく割高だった。だが、そうした時代は過ぎ去った。日本株は世界的にも割安感が目立っており、とりわけ米株との比較ではその差は歴然だ。