大企業志向から働き方志向へ?
学生に注目される企業3つの特徴

 今年は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、企業は2021年卒学生の採用活動を一時ストップさせなければならないなどの影響も出た。そのためか、企業の採用関連情報の発信が例年よりも抑えられ、昨年の同調査よりも全体的なエンゲージメント量が下がっているという。

 そうした中でも、注目を集めた企業にはどのような特徴があるのだろうか。同社の採用コミュニケーション事業部・秋山真事業部長は、昨年との違いを含めてこのように分析する。

「昨年までは、GAFAをはじめ、日本企業でもビッグネームの大企業がやはりSNS上でも注目を集める傾向があった。しかし今年はコロナによって、単なる有名企業ではなく、働き方の柔軟さがあったり、大企業でも変革に積極的など意外性があったりする企業に注目が集まっている。また、社会貢献や趣味系の企業も注目を集めており、コロナ禍で就活について改めて考える時間があった中で学生自身が『本当は何をしたいか』考えた結果ではないか」

 こうしたことから、同社が挙げるSNS上で今年注目された企業や発信された情報の特徴は、以下の3つになる。

 1つ目は、いちからやカバーといった代表的なエンタメ関連企業の「好きなことを仕事にしよう」というメッセージだ。2社ともに自ら事業展開するVTuberに関連した職業の募集要項記事やコンテンツ監修に関わる学生インターン募集の記事に、「こんな働き方がしたい」というストレートな感想が寄せられていた。コロナ禍で不安な世の中ではあるが、自分の趣味嗜好に合う仕事をしたいという学生の思いが顕在化している。

 2つ目は、変革への挑戦意識を打ち出している企業だ。今回の調査結果はベンチャー企業や大手外資系IT企業の名前ばかりが並ぶ中で、NECとパナソニックが多くのエンゲージメント量を獲得している。この2社はデータサイエンスなどの最新テクノロジーや変革に挑戦している姿勢を表すコンテンツで関心を寄せられており、「こんな一面があったのか」という大企業の意外性のある実態が好意的に受け止められたようだ。

 そして3つ目が、働き方改革や社会貢献の取り組みに関する話題を取り上げた企業だ。コロナ禍ではテレワークの導入が進むなど、働き方にも大きな変化が起きている。そうした企業の対応にも学生は敏感に反応している。ヤフーやオリィ研究所、楽天では、自社のツールや商品による働き方改革や、社会貢献に関する記事が高いエンゲージメント量を獲得。また、アソビューは社長自らがnoteを使って緊急事態下の企業経営などについて発信した記事が注目を集めた。