列島明暗#番外編
Photo: gyro/gettyimages、写真提供:岩崎産業

2022年に創業100年を迎える鹿児島の名門、いわさきグループ。観光・交通を支えてきたが、コロナ禍で大打撃を受け、事業の見直しを迫られている。特集『列島明暗 都市・地方財界・名門企業』(全15回)の番外編では、70億円減収、有利子負債500億円という現状をどう打開するのか、岩崎芳太郎CEOを直撃した。(ダイヤモンド編集部 大根田康介)

観光政策前倒しの悪影響
「今が一番中途半端で、死にそう」

――鹿児島経済の現状と今後をどうみていますか。

 国は新型コロナウイルスの感染拡大について、緊急事態宣言という封じ込め作戦により短期で終息に向かうと思っていたようですね。でもふたを開けてみると1カ月では足りず、中途半端に延長しました。ですが、結果的に感染者数は減りませんでした。

 国は短期決戦モデルを描いており、コロナが終息したら一気に景気をV字回復に持っていこうと考えていたと思います。その象徴的な政策が「Go To トラベルキャンペーン」でした。

 観光事業を展開する私の立場としては当然、キャンペーンを推進してもらわないと困ります。仮に短期決戦モデルが失敗してウィズコロナ状態になったとしても、キャンペーンを進めてもらって経済を緩やかに回復させれば良かったのです。

 ところが、短期での終息という前提条件が狂ってしまいました。にもかかわらず、無理やり前倒しして7月22日からキャンペーンを始めてしまった。そのため、「キャンペーンのせいでコロナが全国に広がる」みたいな話になり、結局、今が一番中途半端で死にそうな状態です。

 鹿児島は基本的に産業がなく、二つしか食いぶちがありません。一つが農業、もう一つが観光です。観光については、国は旅行を推進しつつも「帰省は控えよう」と言ったりして、マーケットをガンガン冷やしているわけです。それで「旅行をすれば反社会的だ」とか「人にコロナをうつすつもりか」という話になりました。

 法的拘束力以上に、日本人はこういう同調性で動いてしまいます。結果的に、当グループのホテルは半分くらいキャンセルになりました。