「北海道の翼」の愛称で道民に親しまれるAIRDO(エア・ドゥ)。東京と北海道を結ぶ路線が主体のため、「Go To トラベルキャンペーン」東京除外の影響を受け、お盆期間の旅客数が3分の1に減った。特集『列島明暗 都市・地方財界・名門企業』(全15回)の番外編では、苦境からの「挽回策」を草野晋社長が明かした。(聞き手/ダイヤモンド編集部 山本興陽)
「Go To トラベル」東京除外が痛手
9月以降の見通しは「予測できない」
――新型コロナウイルス感染拡大の影響は。
もう忘れられてしまったかもしれませんが、北海道の空は半年前までは非常に好調でした。新千歳空港の2019年1~12月の乗降客数は2459万人で、過去最多を更新していました。
当社も20年2月までは過去最高の旅客数になる見通しでした。ところが、3月に急減。3月というたった1カ月だけで1年間の貯金をほとんど吐き出してしまうぐらいの急ブレーキがかかったのです。
北海道では独自の緊急事態宣言が2月に発令されたこともあり、第1波は早く終息しました。ですが、今度は遅れて首都圏で感染が広がった。北海道は良くなったけれども、次は東京方面が悪くなって、需要の回復には結び付かなかったのです。
長距離移動を担う航空は、発着地共に感染が落ち着かないと需要が回復しないという難しさがある。
結果として21年3月期第1四半期の収入は前年同期比約8割減。7月初旬から感染が再拡大したことで、Go To キャンペーンから東京が除外されました。当社は東京と北海道を結ぶ路線が主体ですから、7、8月の夏場の需要は盛り上がらず、お盆期間中(の搭乗率の前年同期比)は34%で着地しました。
北海道は観光あるいは航空の需要の夏場のピークが他の地域と比べて高いという特徴がありますので、この夏場の低迷は痛い。
――9月以降の見通しは。
正直なところ、これまでの経験からすると、予測ができません。
やはり、臨機応変に運航体制を見直していく構えを取らざるを得ないと考えます。