コロナ禍で大打撃のアパレル産業。もともと服を作り過ぎていた上に、外出自粛のニューノーマルでファッション系の服のニーズが激減した。特集『列島明暗 都市・地方財界・名門企業』(全15回)の#13では、岡山のアパレル企業の懊悩をつまびらかにする。繊維の街は再び立ち上がれるのか。(ダイヤモンド編集部 相馬留美)
アパレルからの発注が激減
医療用ガウンを手掛ける工場も
「このへんのジーンズ工場でも、最近では医療用ガウンを作り始めたようだ」――。
岡山県倉敷市のあるカジュアル衣料メーカーの経営者は、取引先の状況に歯がみする。医療用ガウンの工賃は1着300円以下。1本3万円近いジーンズを作る工場なのだから、売り上げの足しには程遠い。
国産ジーンズの中心地である倉敷市の児島地区。駅近くには「ジーンズストリート」ができ、数多くのジーンズショップが軒を連ねている。
日本の繊維産業の多くは、生産拠点を海外に移転した結果、地場産業は卸売り機能のみが残り、価格競争にのまれて衰退していった。