東芝から切り離されて、米投資ファンドのベインキャピタルを中心とした「日米韓」連合の傘下に入った半導体大手キオクシアホールディングス。米国のファーウェイ制裁強化で出荷停止の打撃を受けて、予定していたIPO(新規株式上場)を延期した。特集『企業直撃 新・地政学リスク』(全14回)の#13では、テクノロジーの地政学にのみ込まれた日の丸半導体の行く末を見通す。(ダイヤモンド編集部 村井令二)
巨額上場を延期に追い込んだ
米政府のファーウェイ制裁
「米中の動きを見て、また上場の時期を考えていくしかない」――。キオクシアホールディングスの大株主の関係者は、米中ハイテク戦争のあおりを受けて、先行きが見通せなくなったことに肩を落とす。
9月28日、キオクシアは予定していた10月6日の新規上場を延期すると発表した。
そのきっかけは、米商務省が8月17日に中国ファーウェイ(華為技術)への輸出規制の強化を決定したことだ。これを受けてキオクシアは、発効日の9月15日からファーウェイ向けの出荷を停止した。
東京証券取引所から上場が承認されたのは、この動きの只中の8月27日。先行きが不透明なままで、キオクシアの新規上場株の購入を検討する国内外の投資家の支持を得るのは難しく、最後は幹事証券会社の意向を受けて、上場延期の方針を決めた。
米ベインキャピタルなどキオクシアの既存株主は早期上場を望んでいたが、もはや受け入れざるを得なかった。「このまま無理に上場を強行すれば株価はさらに下がりかねない」(主要株主関係者)。今年最大規模になると見込まれた新規上場は、米中対立の余波で、あっさりと延期に追い込まれた。