企業直撃 地政学リスク#3
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AI、自動運転、次世代半導体――。先端技術に関わる企業のエンジニアに、「信用度」が求められる時代が来そうだ。特集『企業直撃 新・地政学リスク』(全14回)の#3では、政府・自民党が検討している、重要な技術情報を扱う人に対する資格制度をレポートする。この制度は、経済と国家安全保障の垣根が融解しつつある現在を象徴するものと言っていい。(ダイヤモンド編集部副編集長 杉本りうこ)

パナソニックには一大事?
企業技術者に「新資格」

「これが実際に導入されたら、パナソニックはどうするのだろう――」。企業の技術情報管理に詳しいある弁護士は、そう懸念を示した。「これ」というのは、企業の技術者らに対し、人工知能(AI)のような重要技術を扱う際の信用度を保証する資格制度だ。

 海外では「セキュリティー・クリアランス」と呼ばれる仕組みで、国家の機密情報に触れる公務員や民間企業の社員に義務付けている国が複数ある。日本にもこの制度は、まったくなかったわけではない。2014年末に施行された特定秘密保護法では、安全保障に関わる4分野(防衛、外交、スパイ行為などの防止、テロの防止)の情報に限って、信用度が評価されている。

 新しい制度は、対象とする情報の範囲が幅広く、そして民間企業の従業員や大学などの研究者を主たる対象と想定している点で、特定秘密保護法のそれとは大きく異なる。この制度について自民党と政府は、21年以降の導入を模索している。早ければ21年の通常国会に、科学技術・イノベーション活性化法の改正という形で法案が提出される見通しだ。

 ではなぜこの制度が導入されれば、パナソニックのような企業にとって一大事なのか?