インターネットの「知の巨人」、読書猿さん。その圧倒的な知識、教養、ユニークな語り口はネットで評判となり、多くのファンを獲得。新刊の『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』には東京大学教授の柳川範之氏「著者の知識が圧倒的」独立研究者の山口周氏「この本、とても面白いです」と推薦文を寄せるなど、早くも話題になっています。
この連載は、「『独学』なんでも相談」本書の内容を元にしながら「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に著者が回答します。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。(イラスト:塩川いづみ)
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら

[質問]
今回質問したいことは、働く大人が初等教育から学ぶためのヒントです

 独学で検索していて読書猿さんのブログを知り何度も助けていただきました、たくさんの感謝を申しあげたいのですがここでは手短に終わらせたいと思います。

 今回質問したいことは、働く大人が初等教育から学ぶためのヒントです。妹(26)が出産を機に私(28)を頼ってくれたのですが、育児書を読もうにも長い文章や漢字が読めず、ネット検索も覚束ないという状況です。(例えば、授乳を「ジニウ」と思っていたなど)

 私達の両親は「勉強すると心が冷たくなる」という考えでした。そのためかなり教育に偏りがあったと思います。(私は早々に社会人となり、読書猿さんのブログと出会い、また駅で隣に哲学書の編集者が座っていたなど数々の幸運を経てたくさんの本に叡智に辿り着き、転職を経て生きるために十分な収入を得るまでに至りました)

 ネット上で読解力の低下を嘆くニュースを多く目にしますが、私達姉妹の置かれていた環境からすると、他の方々はその素晴らしい読解力をどうやって得られたのか不思議なくらいです。外に出るには厚い壁があります。私はがむしゃらに本を読み、いま思うと周り道を多くしすぎましたが、妹がこの壁を越える、破るためのヒントを与えてくれる本やキーワードはないでしょうか。私は妹が現状を変えて学びたいと思った事がたまらなく嬉しいのです。

スキマ時間に子ども向けの「国語辞典」を読もう

[読書猿の解答]
 まず手にしていただきたいのは国語辞典です。読めない字を手書き入力できるスマホのアプリ版もよいと思います。説明の中に分からない言葉があっても調べやすく、またスマホならいつも手元にあるので引きやすいので。

 子どもの頃に読んだので、残念ながらお名前を忘れてしまったのですが、ある漫画家の方は、家出同然で実家を離れて上京したとき、画材の他にたった一冊持ってきた国語辞典が、その後創作を続けプロになった後も、自分の百科事典となり先生となって何度も助けてくれたと語っていました。

 国語辞典は言葉の意味だけでなく、あらゆる分野の知識を短くまとめて集めた本です。それぞれの項目はとても短いので、少しの時間があれば、また読むのが得意でなくても、読むことができます。分からない言葉を引くだけでなく、1分でも時間ができたら国語辞典を読書してください。

『独学大全』でも、事典の選び方、読み方を詳細に紹介していますが、スキマ時間の国語辞典読みを半年もやれば、相当の「実力」がつきます。何よりも、分からないことはすぐ調べようという習慣が身につきます。これは一生の財産となるものです。

 分かりやすさでは子ども向けで総ルビつきの『例解小学国語辞典』がおすすめですが、これだと載ってない言葉も多いので、慣れてきたら、他に小学館の『大辞泉』のアプリ版(App Store / Android)などがあれば良いと思います。この辞書はニュースに出てくるような新しい言葉にも強く重宝します。

 もし漫画を読める人なら、学研や小学館の学習まんがを読んで知識を増やすこともできます。

 学研の「まんが攻略BON!」シリーズ。たとえば『政治・国際 改訂版 (中学入試まんが攻略BON!)』 『歴史上巻 改訂版 (中学入試まんが攻略BON!)』『歴史下巻 改訂版 (中学入試まんが攻略BON!)』、他には旺文社の「学校では教えてくれない大切なこと」シリーズもマンガでおすすめです。

 他には「小学館の図鑑NEO」シリーズなど、子ども向けには優れた本がたくさんあります。近くに図書館があれば、児童書コーナーをみてみると、これらの本が見つかると思います。

 ここまで来たら、赤木かん子『調べ学習の基礎の基礎』という本をどうぞ。図書館をを使いこなし、味方につけるための本です。これからの妹さんにきっと役立つ思います。

追伸
読書猿を見つけていただき、ありがとうございます。がむしゃらに本を読んできたあなたがいてくれたから、妹さんにつながることができました。あなたと隣り合わせた、あなたを本の世界へ導いてくれた方にも感謝を。