保険ラボ

第一生命が株式会社化して今年で10年が経った。その間、同社はどのような変化を遂げてきたのか。経営企画畑を歩み、3月に2年間の米国赴任から帰国した隅野俊亮常務執行役員に、この10年間を振り返ってもらうとともに、デジタル化や低金利、コロナ禍など環境の激変にさらされている生保事業の将来について話を聞いた。(ダイヤモンド編集部 藤田章夫、片田江康男)

創業から100年を経て
劇的に会社が変革

「創業してから118年。100年間は超ドメスティックな会社でしたが、直近の十数年間で会社は劇的に変わりました。株式会社化に海外展開、M&Aも行いました。米プロテクティブ買収の際には増資を行い、成長資金を取り込みました。規模とスピード感は段違いです。私が入社した当時と比べて、格段に濃密な仕事をしていますね(笑)」

 米国での2年の赴任を経て経営企画部門に復帰した隅野俊亮・第一生命ホールディングス(HD)常務執行役員は、2010年の株式会社化を含めたここ十数年間を感慨深げにそう振り返る。

隅野俊亮第一生命ホールディングス常務執行役員隅野俊亮/すみの・としあき
1992年4月第一生命保険相互会社入社(現第一生命保険株式会社)。2013年4月グループ経営本部部長兼経営企画部部長。16年10月第一生命ホールディングス執行役員経営企画ユニット長。18年4月執行役員北米事業本部長。20年4月より現職 Photo by Yasuo Katatae

 確かに、第一生命のこの十数年間は、大手生保4社の中で、他の3社とは一味違う時間を過ごしてきたのは間違いない。

 07年には銀行・証券窓販向けの商品を販売する第一フロンティア生命保険を設立。14年には、買収した損保ジャパンDIY生命保険を、保険ショップ向けの商品を販売するネオファースト生命保険に衣替えして開業した。足元では少額短期保険会社の新設なども想定しており、業界内でいち早く、生保のマルチブランド・マルチチャネル戦略を進めてきた。

 近年では、日本生命保険が19年4月に、はなさく生命保険を設立し、保険ショップなど乗り合い代理店を通じた販売に乗り出すなどマルチチャネル化が進み、熾烈な競争が繰り広げられている。

 「フロンティアやネオファーストがなかったら、と考えると怖いですよ」と隅野氏は語る。