中国はインフラに過剰投資している。一方、米国など他の富裕国では一般的に過小投資となっている。長らく財政再建を訴えてきた国際通貨基金(IMF)はここに来て、富裕国も中国にもう一歩近づき、公共投資を大幅に拡大することを提案している。まれに見る複数の要因が重なり、IMFが先週公表した報告書の正当性が示唆されている。金利は過去最低近辺にある。富裕国、特に米国の公的資本ストックはめっきり減少している。過去のリセッション(景気後退)を基準にしても、成長を巡る不確実性はことの外高い。これに加え、世界の政治的な風向きは変わりつつある。新型コロナウイルスの感染が終息すれば、中国からサプライチェーン(供給網)を分散する取り組みが本格化しそうだ。そのためには、各国は堅固なインフラ――物理的な「ハード」面のインフラと、健康で教育水準の高い人材や資金の豊富な研究機関など「ソフト」面のインフラの双方――が必要になる。