3Dプリンターを手掛けるスタートアップ企業、フォームラブズの本社は活気に満ちている。「会社は3月初めから休みなしだ」。デービッド・ラカトシュ最高製品責任者(CPO)は筆者に社内を案内しながらそう話した。人工呼吸器を製造する医療機器企業やスタッフの在宅勤務が続く一流企業が、創業9年目のフォームラブズの小型プリンターに飛びついている。ただ、ここで働くフォームラブズの従業員400人の活気は、中国やシンガポール、日本、ドイツ、ハンガリー、それにノースカロライナ州がなければありえない。ここ数年の貿易戦争やナショナリズムの高まりで動き始めた脱グローバル化のプロセスが、新型コロナウイルスの世界的流行で加速するかもしれない。企業の最高経営責任者(CEO)やアナリスト、エコノミストはそう予想していた。少なくとも、企業が大規模な混乱のリスクを下げる目的で複雑に絡み合うサプライチェーンを見直すのに伴い、世界の貿易は姿を変えるだろう、と。
コロナでも「国内回帰」急がぬ米メーカーなぜ
脱グローバル化が進むと予想されていたが――
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