2.抽象化力――法則やルール、パターンを導き出せる
2つ目の「抽象化力」とは、本に書かれたノウハウを、科学や数学の公式のように抽象化して覚える能力です。
本にある著者が編み出したノウハウは、あくまで著者本人がいたシチュエーションで使えたものです。それを読んでいる自分自身がうまく使おうと試みる場合は、多かれ少なかれ抽象化することになります。
たとえば、株の本を読んで失敗する人は、本で著者が紹介している銘柄をそのまま買ってしまう人です。本にある情報を抽象化しないでそのまま使うと、売買タイミングのズレなどがあり、痛い目を見ることがあります。
そうでなく、その銘柄を推している著者の理由を法則化するのです。著者がIT企業の銘柄をいくつか推していたとします。その企業を推している理由が具体的に明記されていなくても、「新型コロナウイルスの影響でデジタルシフトしている」「DX(デジタルトランスフォーメーション)のサポート実績がすでにある」「社長がデジタルネイティブ世代」などの共通項の抽出を試みます。これが抽象化力であり、あらゆる本から法則やルール、パターンを導き出せるようになります。
このようなルール化やパターン化ができないかを考える思考習慣を養うのが理系読書の効能でもあるのです。
3.仮説思考力――問題に解決に向けた仮説を立てられる
3つ目の「仮説思考力」とは、見つけた問題に対してどんな解決策があるのか、仮説を立てる能力です。ここでいう仮説とは、「本を読んで思いついたアイデア」程度です。
理系読書は、必ず問題解決できたかどうかの検証をします。そのためには、仮説がないと検証できません。
つまり、理系読書では、仮説を立てないと先に進まないため、自ずと仮説を立てるクセがつくのです。結果的に、仮説を立てようとすることで、能動的な読書もできるようになります。