患者の心に寄り添う医療
「ナラティブ・メディスン」
かつては、根拠のあるデータに基づく治療(Evidence Based Medicine:EBM)が当たり前だった医療業界。
しかし、たとえ正しい医療を行ったとしても、上から目線、説明が足りなかい、何のために何をするかを聞かされず一方的に薬を渡される、治療を受けさせられるなどで、医師に不信感を持つ患者は少なくありませんでした。
患者の満足に大きな影響を及ぼすのは、科学的な正しさより、医療者との関係性なのです。
そこで注目され始めたのが対話の医療「ナラティブ・メディスン」です。
大切なのは、患者を「データ」として見るのではなく、「病気というナラティブ(人生のストーリー)を持った人」と捉え、どのように病気になったのか、癒しに何が必要なのかなどを探るために、患者の言葉に耳を傾けること。医療者は、そのストーリーをよく聞き意味を読み取り、適切なサポートを行うことが役割です。
相手の話を遮らずに聞き、まるごと受け止め、心を開いてもらえれば、患者は安心してヴァルネラビリティ(人ゆえ誰もが持つ弱さ)を開示し、信頼関係が生まれます。