ストロング系チューハイが大人気
背後で何が起きているのか
最近、ストロング系チューハイの功罪両面についての話題が目につきます。ストロング系チューハイとは、価格が安くアルコール度数が高いチューハイの総称で、今若者を中心に大人気となっているお酒です。
功罪の「功」の面としては、ウィズコロナで低迷する消費のけん引役としての評価が高い商品だという点です。小売の酒類の現場で見れば、とにかく売れている。どれくらい売れているかというと、今年4月にストロングゼロを含むサントリーの缶チューハイ「-196℃」ブランドの売り上げが、ギネスブックで世界記録に選ばれたほどです。
ウィズコロナ期間に相当する今年4月から8月のお酒の累計課税数量は、全体で前年同期比6%のマイナスです。中でも清酒やビールなど主力製品の売れ行きが前年割れと振るわない中で、リキュール(缶チューハイはこの分類に含まれる)は対前年で16%のプラスとなっており、群を抜いています。
ひとことで言えば、世帯収入が減る中で「安くてすぐに酔えるストロング」は庶民の味方となっているわけです。
一方で功罪の「罪」の面として、そのアルコール度数の高さから、ストロング系缶チューハイの健康に対するリスクの指摘が相次いでいます。口当たりがよく簡単に酔えることから、これから先、依存症患者が増えてくるのではないかという懸念です。
私は医療ではなく経済の専門家なので、まず経済の切り口で、今ストロング系缶チューハイとウィズコロナ消費について何が起きているのかを、見てみたいと思います。そのうえで、社会全体としてこの問題が何を意味するのかをまとめてみます。
私たちコンサルが世の中の消費動向を把握する手がかりとしてよく使うデータが、国が発表する『家計調査』です。9000世帯の家計簿を統計にしたものですが、これがミクロの消費動向を把握するのにはとにかく役立ちます。