世界貿易は近年、衰退し続けている。2020年も例外ではなかった。2009年の世界金融危機以降ずっと国際貿易は伸びが鈍化し、「スローバリゼーション」と呼ばれるほどだ。米トランプ政権の発動した高率関税や貿易戦争がさらなる打撃を与えている。2019年の貿易取引高は実際に減少した。世界経済が拡大を続けたにもかかわらずだ。今年、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が到来し、世界の経済活動に壊滅的影響をもたらした。その結果、世界貿易機関(WTO)の推定によると世界貿易は9.2%縮小したとみられる。貿易の盛衰は、主に世界の経済成長率の変化を映し出す。従って2021年の貿易見通しは、世界がパンデミックと決別できるかどうかで決まる部分が大きい。ただ、世界各国のコロナへの政策対応、そして安全保障面での懸念の高まりが、グローバル化の先行き――潜在的には後退する可能性――に持続的影響を及ぼすと考えられる複数の理由がある。