米ネットワーク機器大手シスコシステムズは、都市のデジタル化を進める「スマートシティー」推進の取り組みから撤退する。新型コロナウイルスの流行でシスコの中核事業が影響を受け、地方自治体はプロジェクトに資金を提供する余裕がなくなったことが背景にある。都市計画担当者や地方自治体は長年、自動運転車などテクノロジーによって都市の景観を一変する構想の準備を進めてきた。ルーターなどのネットワーク機器を企業に提供するシスコにとって、こうした構想は新たな市場の誕生を意味していた。ソフトウエアサービス「シスコ・キネティック・フォー・シティーズ」を中心としたスマートシティーへのシスコの取り組みでは、チャック・ロビンス最高経営責任者(CEO)も積極的なかじ取り役となった。ロビンス氏には、ハードウエアの販売から収益性の高いソフトウエアサービス提供へと事業の軸足を移す狙いがあった。