総予測#54
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世界的大企業ですら沈没する。激変の中国IT業界は2021年、さらに激しい「大淘汰」の時代を迎える。特集『総予測2021』(全79回)の#54では、中国主要IT企業の未来を占った。(ダイヤモンド編集部特任アナリスト 高口康太)

「週刊ダイヤモンド」2020年12月26日・2021年1月2日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は原則、雑誌掲載時のもの。

巨大企業すらも落伍する
「大淘汰」の時代が到来

 米国にGAFAがあれば、中国にはBAT(検索の百度〈バイドゥ〉、ネットショッピングの阿里巴巴〈アリババグループ〉、メッセージアプリの騰訊〈テンセント〉の頭文字を取った造語)があるとよく比較されるが、米中には大きな違いがある。米国の巨大IT企業はそれぞれの領域で盤石の地位を築いているのに対し、中国では他社を追い落とそうとする、激烈な競争が繰り広げられているという点だ。

 バイドゥの現状がそれを象徴している。スマートフォンへのシフトに失敗したバイドゥは株価が低迷し、●多多(●は手へんに并、ピンドゥオドゥオ)や美団(メイトゥアン)などの新興勢力にも大きく引き離されてしまった。

 テンセントの創業者である馬化騰(ポニー・マー)CEOは11月、社内誌「三観」の序文に次の言葉を記している。

「新たな大淘汰が始まったと確信している。モバイルインターネットへの転換と同じく、(新たな時代という)船に乗り遅れた人は落伍することになろう」

 まさにその言葉通り、中国IT企業は生き残りを懸けた戦いを繰り広げている。どんな巨人であっても、この戦いからは逃れられない。

 EC(電子商取引)の分野で圧倒的な地位を築いたのがアリババだ。2019年度のGMV(総流通額)は1兆ドル(約104兆円)を突破し、世界一を記録している。この王者の地位は何者にも脅かすことはできないかと思われていたが、今、強力なチャレンジャーが現れている。