ソーシャルメディアやマスコミ界では、中国の著名ハイテク起業家である馬雲(ジャック・マー)氏の命運を巡る臆測が飛び交っている。数週間前に中国の規制当局とひともんちゃく起こして以降、世間から姿を消しているからだ。● ジャック・マー氏とは何者か56歳の元英語教師で、1999年に中国東部の小さなアパートでアリババグループを立ち上げた。この新興企業は卸売り取引を手掛ける駆け出しのインターネット事業から、テクノロジー帝国へと急成長。事業内容はEコマースからクラウドコンピューティング、ロジスティクスに拡大し、年間売上高は860億ドル(約8兆8500億円)を超えるまでになった。アリババの成功を追い風に、傘下アント・グループの基盤を成す電子決済サービス「支付宝(アリペイ)」の普及も加速した。マー氏が支配株を保有するアントのデジタルプラットフォームは日々、何百万人もの中国人によるオンライン販売と実店舗の決済を処理している。マー氏は2019年9月に引退してアリババのトップの座を譲った後、慈善活動に専念し、教育促進や起業家精神育成などのために世界を訪れることに力を入れ始めた。